「一度はパートナーとして女性を向かい入れようかとも考えたんだけどね」
その後は何も続けなかった。
この人が生きる世界は死と隣り合わせ。
カタギの世界とは違う。
もし、この人が榛人を殺したのなら、何故あんなにも仲が良かった榛人を殺したんだろう。
その後は、和食屋さんで食事をして、アンティークのお店やブランドのショップなどを回った。
全て人気の多い場所。
いまいち何を考えているのかは読めない。
本当にただの休日のよう。
「藍人は、門限とかはあるの?」
「いいえ、一人暮らしなので」
「そうか、一人暮らしか。じゃあ、もう少し大丈夫か?」
日も落ちてきた。
これから、どこに?
夕食だろうか。
すると、最上階にテラスがあるビルに入る。
最上階に出れば、丁度夕日があたし達を照らしていて、
「綺麗」
思わず声が漏れる程、綺麗な景色。
静かに眺める。
そして少しして気付く。
碧さんの方を見れば、碧さんはあたしの顔を見ていた。
どこか、寂しげに。
けれどすぐにふわりと笑って、夕日に目線を移し、
「綺麗だ」
そう言った。
瞳が潤んで見えたのは気のせいか。
サングラスをしているから、ハッキリとは分からないけれど。

