i -アイ-





あたしが保健室を出ると、素直に着いてくる佐伯蓮。

本当に暴れん坊くんだったのか?

と疑ってしまうほど。



「あ、俺は久遠藍人。クラスは1-Aだったかな。君は?」



「……佐伯蓮。俺もA」



わあ、同じクラスかぁ。


すっごい警戒してるなぁ。



「俺、公立の中学から来たからさ、なんか新鮮なんだよね、こういうかっこいい学校」



「……かっこいい、か?」



「普通の学校と比べたら、断然金のかかり方が違うよ」



あたしの言葉を静かに聞いてる。

やっぱり声かー。



教室まで佐伯蓮と来たのが正解だったな。

誰にも話しかけられずに来ることが出来た。



「佐伯、教室まで付き合ってくれてありがとう。改めてよろしくな」



ニッと笑って自分の席へ向かう。



席に着くと、隣の席のこれまた爽やかイケメンが声をかけてきた。



「え、お前って佐伯蓮と知り合い?」


「いいや?廊下でぶつかっちゃってさ。自己紹介したら同じクラスだったから一緒に来ただけだよ。君名前は?」


「あ、俺、滝谷岳」


「俺は久遠藍人。よろしく」


「おう、よろしく。……ってお前怖いもの知らずなのか?それとも、佐伯蓮のこと知らないのか?」