「痛い?」
咄嗟にそう聞いてしまった。
「気にすんな」
そう言って立ち去ろうとした佐伯蓮。
よし、あたしも保健室に行こう。
と思ったけど、多分、着いてきてるな。
保健室に入ると誰もいなくて、絆創膏だけ貰おうと思い、奥まで歩く。
「何か用?」
後ろを振り返らずにそう聞くと、微かに気配が震えた。
「……気づいてたのか」
「さすがにね。」
血を軽く水で流し、水気をふき取って絆創膏を貼る。
「よし。」
佐伯の方を振り返り、佐伯の胸に花があることを確認して、
「君も新入生なんだね。俺もなんだ。よろしく」
手を差し出すと、ビクッと体を揺らす佐伯。
何? i だとでも?
今のあたしを見てそう思うなら、きっと声だろうな。
「どうか、した?さっきから様子変だけど」
シラを切り通す。
あたしはそうするだけだけどね。
「お前、俺とどっかで会ったことないか」
真剣な瞳にあたしが映る。
静かに近づいてスレスレまで顔を近づける。
やっぱあたし、イケメンだ。
「うーん、分からないな。そんなことより、教室まで一緒に行こうよ」

