「久遠藍人、黎鳳学園高等部1年、秀才枠。それ以外の情報はこれといって掴めません。情報漏洩を防ぐvip対応の業者に作らせているかと。また、最近REIGNにスカウトされて入ったとのことです」




ジャズのレコードが静かに響くこの部屋で、頼んであった情報が報告される。



「ご苦労。」



俺の言葉に報告しに来た部下は、深く頭を下げ部屋を出ていく。



「……REIGNね」



懐かしい響きだ。

今の俺には眩しくて目を開けていられないほどの記憶。


ああ、あの頃、いつも中心にいたのはお前だったな。



そうだろ?


榛人。




「久遠、藍人か」



カメラに気づいてか、偶然か、カメラ目線でそこに移る高校生。


容姿は驚くほど、御庄榛人に似ている。

髪色が少し榛人より明るいくらいか。



「……榛人より、少し細身か」



" REIGN を潰す "


少し前までは、簡単な事だった。

メンバーである子供たちの素性も親も、全てを知り尽くしていた。



けれどイレギュラーが起きた。



「お前は、何者だ」



灰皿の上で、その写真にジッポで火をつける。


榛人とお揃いの銀のジッポ。名前入り。



まあそんなこと、本人が死んだ今、知る者は俺だけ。