「お前だって一人で行動してんだろ」



……まあそりゃそうだけど。



「確かに、暁より強いとは言えないよ。やった事ないのもあるけど、相手も蓮と優介さんしかまだ手を出してなくて、そこからそこそこ日が経つのに司さんに手を出さないあたり、他の計画を練ってる。」



その理由は



「司さん三國、暁を相手にするのが面倒って事だよね。その分強いんだと俺でも察するよ」



三國と対峙した時も、三國は加減はしてなかったけど、三國にあたしを再起不能にしようとする気は一切なかった。


実験感覚だったんだと思う。



「……でも、見てきた世界は違うから」



皆より汚れた世界を見てきたから。



「免疫力は高いよ、皆より」



学校の校門をくぐり、校舎に入る。

酷く脅えた目を向けられる。



「西尾の件、皆知ってるんだね」



「そりゃあな」



西尾和之の経営する病院は、あの時拡大を計画していた。

その出資をしている1人が榊財閥の傘下である碓氷の一企業だった。

出資をしている1人とはいえ、その額は他の出資者とは比べ物にならない額で、あの件で碓氷はその出資を停止した。



規模拡大が取りやめになったということは、今後の推進が見込めなくなったということ。