確かに、三國と遊んだ記憶はある。

走り回ってた記憶も。


でも、暁の記憶はない。



「甘えたい、頼りたいっていう気持ちを捨てて、一人で強くならなきゃって藍はここまで頑張ってきたんだろ?」



あたしを見下ろす暁を見て、ふと思った。



「甘えて、頼ってたのが暁なんだね」



「……もしかしたら、甘える、頼る象徴的存在が俺で、そこから卒業しようとしたのかもな。」



それだけ、必死だった。

大切な幼馴染みのことを忘れようとするほどに。



―― 誰がお前を悪ガキだと言おうが、俺にとってお前は可愛くて可愛くて、仕方がなかったんだ




耳元でそう囁く暁の声は、甘くて温かかった。

_____



「はよ」



朝、自宅であるマンションから出ると、暁が待っていた。


土曜の夜に話して一日が経った。



「驚いた。おはよう、暁」



改めて横に立つとどれだけ暁がデカいか分かる。



「身長、何センチ?」


「4月に測った時は187だった」


「それで止まりなよ」


「まあ、これ以上は別にいらねえな」



つか



「優介さんは」



2人で行動してって言ったんだけど。



「優介は狙われた日から車で通ってる。」



「暁は」



「俺は学校前のマンションで一人暮らししてるから、近いんだよ」



「なら、ここまで来ないでよ」