i -アイ-





「俺も、心惹かれます?」


あたしの言葉に一瞬止まり、呆れたように笑う。


「惹かれると言っておこうか」



歳が20も違えば、その分大人だな。



ラーメンを食べ終え、帰ろうとすると、



「会社の駐車場に戻ろう」


そう言われた。

別に戻ろうと思えば数分で戻れる場所ではある。



「車通勤なんですね?」


「ああ。それに、高校生をこの時間に歩いて帰らせるのは気が引けるからね」



男の子だとしても。そう話す春日井さん。



「じゃあお言葉に甘えて。」



春日井さんの車はスタイリッシュなタイプかと思いきや、デカいSUV。



「男ですね〜」



「どういうことですか」



「春日井さんて、結婚しないんですか?」



「……君とそこまで話すほど、仲良くなった覚えはないんだが」



「え〜いいじゃないですか。」


シートベルトをして足をばたつかせる。



「ただ出会わないだけだよ。独身貴族とか、そういうのじゃない」


容姿は整ってるし、仕事もできる。

優良物件だけど、それに寄り付く女はお呼びでないって感じか。



「俺みたいな女性に出会えたらいいですね」



「はい?」


気持ち悪そうに俺を横目で見る。



「え?強引な人の方が、合いそうじゃないですか、春日井さん」