「俺の昔のあだ名、教えてやるよ。"榛人さんの弟"。」
うわあ、小中高一貫だとそうなっちゃうのか。
「結局女は、硬派が好きって言いながら、女の扱いに長けてるやつの方が好きなんだよ。だからお前も学校でモテるぞ」
利人さんの無表情無愛想無口は榛人のせいなのかもしれないな。
「よーし侍らせるかー!」
「阿呆」
軽く頭を小突かれた。
「外に史也がいるから、近くまで送って貰え」
「え?綾ちゃん?」
綾川史也(あやかわふみや)。利人さんの秘書で、この人も黎鳳学園出身のREIGNのOB。
そして、お父さんが漸さんの右腕の副社長さん。
利人さんが出張で家を空ける時、綾ちゃんが行かなくてもいい仕事の時だけ一緒に過ごしてくれたことがある。
「あいつもお前のこと心配してるみたいだから、顔見せてやれ」
「本当に?分かった!」
玄関で靴を履いて、振り返り利人さんにハグをする。
「遅れんぞ」
「利人さん?寂しかったら連絡してもいいからね。またこうやってハグしてあげてもいいよ」
「はっ、生意気だな?お前が寂しくなんじゃねえの?」

