i -アイ-





久遠藍人は一般人であり、亮さんと会うのは難しいし、御庄藍は父親を亮さんに殺されたと思っている、そういう前提がある。まあ全て噂だけど。


「亮さん」



「ん?」



「亮さんに会いたくて黎鳳に入った。けど、REIGNの皆を危険に晒したかったわけじゃない。」



「分かってる。……それに、今はお前が守ってくれてるんだろ?」



……亮さんは全てを分かってる。

今REIGNを狙っている相手も、きっと。



「これだけは教えよう」



知ることは武器になる。


それと共に危険度を上げることになる。



「今REIGNを狙っている人間は、俺を狙っている。榛人を殺した人間だ」



何も聞こえなくなる。


もちろん、このスイートルームは元々静かだ。

けれど、まるで、耳さえもなくなったように無音で。

自負している耳の良さがなかったように。



あたしは温もりに包まれる。


そこでやっと声が聞こえた。



「大丈夫」



亮さんがあたしを抱きしめてくれている。



「俺や、榊の人間は俺が守る。それに、あいつらが動き出したのは、俺が榛人を殺した人間について嗅ぎ回っているからだ」


泣きそうになる。


「あいつと俺はお互いによく知っている人間だから、下手に動くことも出来ないんだ。だから、すぐに何かが起きるわけじゃない。その証拠がREIGN潰しだ。俺じゃなく、俺の弱みを握ろうとしてる」