i -アイ-





訳が分からないと言いたげに瞳が揺らぐ西尾。



「もう一度言う。俺はな?

藍人を助けたんじゃない。



お前を助けたんだよ」




あーあ。あたしの助け方がえぐいなぁ。

そんなこと言ったら、西尾、あたしに近づけなくなっちゃうね。


「俺もさぁ、居たんだよ。ヘラヘラして女侍らせて、努力もしないで頂点に君臨してるやつが。」


嫌そうに話す亮さん。


「でもそいつとぶつかろうとは思わなかった。そういう努力を見せない、血の気も隠した様なやつが、一番敵に回しちゃいけないやつなんだよ」



わかるか?と西尾に問う。



「藍人、お前今REIGNにいるんだろ?」



「うん」



「暁や三國も懸命なこったな」



ニッと笑う亮さん。



「よーく覚えとけ。久遠藍人、こいつは俺を敵に回すより怖い人間だぞ?」



ねえ、楽しんでるでしょ?亮さん。



西尾は恐る恐るあたしを見る。



「ちょっと、亮さんの言葉、鵜呑みにしないでくださいよ?」



え、と混乱した声を出す西尾。



「俺に害を与えても特に問題はありません。ですが、俺の大事なものを傷つけたら、俺は容赦できません。しないのではなく、できないんです。今回のように亮さんに害を与えた貴方を消すことは俺にとって容易です」


瞬きをすることなく西尾の目を見る。