i -アイ-







小中と、名家の子供たちが通うことで有名な黎鳳学園にあたしは通っていなかった。


というのも、あたしに温室で暮らさせたくないという家族の意向から公立の学校に通っていた。


けれど今回、高校は黎鳳に通いたいと利人さんと漸さんに話した。


一人暮らしにしたのもそれが理由。



黎鳳には、榊暁(さかきぎょう)がいるから。



出された条件は、まず、




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「えーここまでする必要ある?」




そう言いながら、少し楽しかったりする。



入学式当日。



この日は、利人さんの家から通うことにした。



耳に少しかかるほどに短く切った髪は、ワックスを揉みこみ、スプレーで軽く固める。


ハーフであるまりあちゃんの血を引き継いだあたしは、クォーターで色素が薄いから髪色はミルクティーベージュぐらいの明るさ。


瞳も薄茶。


でもそれ以外、つまり顔は、




「うわ、髪染めた兄貴だな」



姿見の前に立つあたしの後ろに来て、姿見を覗いている利人さん。



「やっぱり?」



あたしの顔は完全に榛人似。

タレ目がちな切れ長の二重。

鼻筋はスっと通っていて、唇は薄め。


男っぽい顔立ちで、どちらかと言うと可愛いと言うより綺麗め。