「俺みたいなライト級でも、細かく動いて省エネして、ここ!って時に体全体使って一撃!みたいなね。まあ、蓮体力はありそうだからなぁ。」
蓮は立ち上がりたいみたいだけど、プルプル震えてる。
膝裏って結構痛いんだよね。
「いいなぁ、藍!俺も特訓して」
そうやって近づいてくるのは三國。
「やだよ。三國は自分で強くなりなよ。それに、三國がどれだけ強いかまだ分かんな」
ブンッ、とあたしの顔の前の空気が音を立てた。
「このゴリラ」
話してる途中に後ろ回し蹴りを、顔面に食らわせようとした三國。
あたしが避けるのを分かっててだけどさ。
完全に重量級だよ。
それ当たったら完全に伸びてる。
三國はあたしの動きを見て、手加減しなくてもいいと思ったのか、どんどん攻めてくる。
「さすが、避けるね。」
「当たったら痛いの、分かるもん」
脇腹を狙ってきた拳をいなして鳩尾に1発入れる。すぐに間合いを取る。
「ハッ……効くなぁ」
蓮なら、これで終わりだけど、あのゴリラ笑ってんもんな。
わざと大振りで拳を出してくる三國は、あたしが懐に入ってくるのを狙っている。掴まれたら終わりだ。
後ろに回って、振り返りざまの頭を逆方向に蹴飛ばす。
グラッと視界を歪ませ、足取りが覚束なくなる三國の後ろにまた周り、首の付け根に手拳を振り下ろす。

