素直になりたい。

そして、それから8時間後...。

時刻は20時10分。

上映時間ぴったりに映画館入りした。

飲み物なんて流暢に買っている暇もなく、私はチケットを発券すると一目散にスクリーン5に突進していった。


「はい、どーぞー」


いかにも眠そうなバイトのお兄さんにチケットを切られ、私はぺこりとお辞儀をすると、全速力で会場に向かった。


「はぁはぁはぁ...」


ドアを開ける前に息を整え、私はゆっくりと前に押し出した。

会場には私も含め5人しかいない。

あの後も1人しか増えなかったのか...。

全国の皆さんは気にならないのかな。

ずっと火曜10時枠で1年おきに放送されて、今年やっとサードシーズンまで来て、そして遂にファイナルだよ。

2人の行く末を知りたくないの?

なんて思いながら、躓かないように慎重に足を踏みしめ、最後列に辿り着いた。

えっと、私は...N20だから、

ここ?

顔を上げた、その瞬間。


「うわっ」


隣の人の足に引っかかって、

というより引っかけられて、

私は前につんのめった。

なんでこんな時にこんな目に遭わなきゃならないの?

私をはめたやつは、一体どんな顔してるの?

ちらっと右を睨んだ。