素直になりたい。

「あの、ではそろそろ僕達の映画上映時間なので行きますね。直禾ちゃん、行こっか」

「あ、はいっ」


私は腕を優しく掴まれたまま、歩き出した。

このさりげない抜け出し方も、

さりげないエスコートも、

胸をキュンとさせる。

横顔がまるで彫刻のように美しく、

月のように切なく、

仏様のように尊い。

この胸のドキドキは

きっとトキメキだ。

私の胸は、この王子様でいっぱいなんだ。

だから、

こんなに、

こんなに、

こんなに...

苦しいんだ。