素直になりたい。

「ただ今あがりました。わざわざ湯船まで、ありがと」


考え事をしていると、櫻庭が浴室から出てきた。

もちろん私は先に入浴させてもらった。

男はあとで十分だ。

なんて言っておきながら、

白ティー1枚の男に心臓を潰されかねている私。

少し透けて見えるのが罪。

しかも、ちゃんと鍛えちゃってるし。

あぁ、もう、さっきからバクバクしてて今にも口から飛び出そう。

アニメだったら確実にモザイクだよ。

しっかりしろ、私。

気を確かに。


「あっ、はい。ど、どど、どうも」


言葉はやはりスムーズに出てこない。

本当に日本人か怪しくなる。


「あのさ、さっきからおかしくない?大丈夫?」

「だだっ、大丈夫だから。そ、そそ、それより、お風呂入れてあげたんだから早く帰って。そういう約束でしょう?」

「いや、帰りたくてもさ、この雨で電車止まっちゃってさ、帰れないわけ」

「じゃあどうするの?」


私がそう聞くと、櫻庭は視線を外した。


「ひとまずそれはおいといて」

「いや、おいとかないで」

「話聞かせて。あそこにいた理由」

「いや、普通そういうのは自分からでしょ?」

「んー。じゃ、つまんないけど、俺から話すわ」


言われる前からそうしろと言いたかったけど、ぐっとこらえた。