素直になりたい。

「鷲尾直禾」

「えっ?」


もしや、と思った。

でも、まさか、そんなはずない。

ここにやつがいるわけ......


「立てるか?」


手を差し出してくる。

この人はそんなに優しい人じゃない。

私にだけは他の人の何倍も何十倍も何百倍も鞭を打ってきた人だ。

そんな人が今さら優しくなんてなるわけない。

こんなの嘘だ。

幻だ。

あるわけないんだ...。


「仕方ねーな」

「えっ、ちょっ...」


脇の下に手を入れられ、そのままひょいっと持ち上げられた。

一旦は立たされたものの、よろけて黒いジャージを掴んでしまう。

そう、黒のジャージ...。

うちの学校のだ...。

やっぱりこれは...

この人は......。