素直になりたい。

傘を差すのも無意味なくらい激しく雨が降る中、私は全速力で走り、商店街から徒歩10分ほどの場所にある神社にやって来た。

明日がオープン日だし、晴天と商売繁盛を祈ろうと思ったんだ。

人気のない薄暗い神社の鳥居をくぐり、お賽銭箱の方に歩いていった、その時だった。


「お願いです...。勝たせてください。お願いします...」


誰かの声が聞こえた。

雨ではっきり聞こえないけど、

でも、低いっていうのは分かる。

低いけど少しまだ幼さがあって、

店長のように余裕がない。

きっと同じくらいの歳の男子だ。

それにしてもこんな時間になんで?

勝たせてくださいって何に?

雨に勝つの?

晴れ男にしてくだいってこと?

......なわけ、ないか。

人のお願いを聞くわけにもいかないし、ちょっと遠くから見守ろう。

私が右足を引くと、

彼も動き出した。

そして、徐々に迫ってくる。

やばい。

まずい。

逃げなきゃ。

なんて、焦ったからだろうか。

私は前につんのめってしまった。


「うわっ!」


あいたたた...。

なんでこんな時にこんなことに...。

唇を噛んで膝の痛みに耐えていると、私の目の前にスニーカーが現れた。

黒に蛍光ピンクのラインが入ってて、そのピンクがひときわ光っている。

一体、この人は......?