素直になりたい。

天羽くんが去り、ようやく静寂を取り戻した図書館で、私と櫻庭は2人きりになる。

衝撃的なことが多くて、なんか疲れてしまった。

自分がなぜここにいるのか分からなくなるくらい、頭が疲弊していた。


「鷲尾直禾」

「何急に?」


もはや、つっこむのも辛い。

話すことに疲れた。


「疲れてるみたいだから、俺が話をする。卒業する前に必ず伝えておきたかったことがある。何も言わなくていい。ただ聞いててほしい」

「はい」


私と櫻庭はその場にしゃがみこんだ。

微妙な距離と角度のまま、櫻庭は話し出した。


「俺がミニブタに"なおか"って付けた理由、分かる?」

「いやだって、それはその当時ブタのようだった私をバカにするためで...」

「半分正解で、半分不正解」

「な、何それ?」


ってか、聞いててくれっていったくせに質問してきてるし。

薄暗くてどんな顔してるのか、分からないし。


「最初は確かにバカにするためだった。けど、だんだん変わっていった。

鷲尾が俺の意地悪に屈しないで頑張ってる姿を見て、なんだこいつ、すごいやつじゃんって思うようになった。
で、いじってるっていう設定にして鷲尾を助けることにした。

雑巾奪ったのも、給食着を奪ったのも、委員会を指定したりしたのも、全部そのためだった。

俺が雑巾がけして、給食当番をやって、忙しい委員会を引き受けた。

人一倍とろいけど、一生懸命だったからさ、助けてあげたくなったんだよ」