素直になりたい。

「わたしはもっと良い人を捜す。モデルの仕事でヨーロッパに行くことになったし、ドラマの主演も決まってね、今は恋どころじゃないけど、必ず仕事成功させて、恋して結婚して幸せになる。どっちが先に幸せになれるか、競争しよ?」


首の傾げ方が、さすがモデルで女優。

あざと可愛い。

そんな可愛さや美しさでは敵うはずのない相手に、私はこっくりと頷いた。


「じゃあ、決まりっ!これからもよろしくね」

「はい...」


日下さんが右手を差し出してきて、私もそれを握り返した。

すると、ふわっと引き寄せられた。

日下さんの顔が近付く。


「新大、待ってるよ。早く行ってあげて」


そう、耳元で囁かれた。

途端に顔が最高潮に熱くなる。

触ったらやけどしそうなくらいに。