素直になりたい。

えっ......?


香りがする。

甘くて優しくて、

淡くて切なくい、

ラベンダーの香り。

この香りに包まれると、

なんだか妙に安心する...。

分かった。

私は今...

櫻庭の腕の中だ。


「鷲尾、ごめん。帰るのもうちょっと待ってくれないか?」

「何で?」

「もう少し、こうしていたい...」

「櫻庭っ...」


私は残された力を振り絞って櫻庭の背中を抱き締めた。

伝わるように。

私の気持ちが、

思いが、

願いが、

全部、

全部全部、

櫻庭の心に

伝わるように。

心の奥底まで

骨の髄まで

染み渡るように...。


私達はレスキュー隊の足音が聞こえてくるその時まで、ずっと体温を共有していた。