素直になりたい。

私が真っ白な雪を見つめていると、櫻庭も隣に腰を下ろした。


「どう?山から見える景色は」

「綺麗だね」

「それだけ?」

「それだけ。それ以上何もない」

「俺と話したくないわけ?」

「はっ、はなっ、話したくない。もう2度と話したくない」


ほんとは......

話したいし、

離したくない、

なんだけどな。

なんて、ちょっと良いこと言えたかも~と内心浮かれていると、櫻庭の肩が上下に動き出した。

そして、終いには、


「あ~はっはっはっは!はっはっはっは!」


大口を開け、お腹を抱えて笑いだした。

私より綺麗な瞳には笑いすぎて涙を浮かべている。


「何がそんな面白いの?」


そう聞いても笑いこけるばかり。

困った男だ。

こんな人、ほっといて滑ろう。

そう思い、立ち上がろうとすると、


「待て」


腕を掴まれた。