素直になりたい。

嫌がられても誉めて伸ばすを繰り返しているうちに、結実が慣れて少しずつ滑れるようになってきた。

その頃にはもう、もともとの運動能力が高い千咲ちゃんはひゅんひゅんと滑っていた。

遠目からみてもフォームは美しく、

スピードに乗っているため疾走感がある。

この雪山もオリンピック会場みたいに整備すれば、モーグルの選手みたいに大回転出来るかもしれないと思うほどだった。


「ねぇ、直禾。わたくし、ちょっとお疲れだから、中で休憩してまぁす」

「そっか。分かった。じゃあ、私は千咲ちゃん誘ってちょっと上行ってくるね」

「了解でぇす」


私は華麗な滑走を終えた千咲ちゃんに声をかけた。


「千咲ちゃん、ちょっと上行ってみない?」

「うん、いいよ。行こう。初めてだから、ワクワクする」

「私もリフトに乗って上まで行くのは初めてなんだ。大丈夫かな?」

「大丈夫じゃなくても、大丈夫。上には頼もしい男子達がいるじゃん」


そっか。

2人は上に行ってたのか。

忘れていた。