素直になりたい。

「櫻庭、行って」


口が勝手に動いた。


「何急に?」

「日下さんを捜しに行ってあげて。櫻庭なら、絶対に見つけられるから」

「何を根拠にそんなこと言ってる?」

「根拠って、それは......」


言いかけたところで、幕が開き始めて、光が漏れる。

私達の出番はこの後。

まだ、時間はある。


「根拠もないのに行かない。俺が今やらなければならないことはここにある。俺はそれをやり抜く」

「根拠なら、ある。その心だよ」


私は小声で言った。


「好きなのか嫌いなのか、それは分からないけど、でも...でも確実に櫻庭は未練を残してる。それだけは分かる。だから、行ってあげてほしい。助けてあげてほしい。日下さんのことも自分のことも...」


隙間からこぼれる光で櫻庭の顔が一瞬だけはっきりと輪郭を帯びた。

その顔は凛々しくて

国王そのもので

思わず息を飲むほど

美しかった。


「俺のこと、分かったつもりになるな」

「別になってない。これからもなるつもりない」

「あっそ」


櫻庭はそう言うと、そっぽを向き呟いた。


「...行くよ。捜しに行く。ただし...」


櫻庭が顔を上げ、こちらを見つめる。

視線がぶつかる。

私も櫻庭も反らさず、

真っ直ぐにお互いを見つめた。


「ガーネット。君を幸せにしてから、な」