素直になりたい。

そして、待ちに待った自由時間。

私達がまず向かったのは、3年E組の教室だ。

私達と同じ劇班で、私達の直後にやるから、まだ終わったばかりのはず。

千咲ちゃんが生田くんのタキシード姿を見たいということで急いで来てみると、案の定まだ着替えは済んでいなかった。


「あっ!千咲ちゃんだっ!」


しかし、いち早く気付いたのは結実だった。


「千咲ちゃんお疲れ様。白雪姫、すっごく良かった!」

「ありがとう。結実も良かったよ。姉役ハマってた」

「何それ~。喜んで良いのか悪いのかわかんな~い。って、それより、彼だよね」


千咲ちゃんの顔がみるみるリンゴのように赤く染まっていく。

普段冷静な子がこういう時に見せる赤面が、個人的にキュンと来る。


「お~い、王子~。姫がいらっしゃいましたよ~」

「ちょ、ちょっと...」


結実の大声でクラス中の視線を集める。

女子たちはこちらの王子に目がハートになり、大興奮。

そして、私の後ろでぼーっと中庭を眺めていた櫻庭に気づき、あの子がやって来る。

私の真横を通り、吸い寄せられるように櫻庭に近付いていく。