素直になりたい。

千咲ちゃんが帰っていき、残るは天羽くんと櫻庭と私になる。

私はひとまず裸足になり、足のマッサージを始めた。


「大丈夫?痛い?」


天羽くんが腰を下ろし、心配そうにこちらを見つめる。

麗しい瞳に見つめられると胸がドキドキしてマッサージどころではない。


「わ、わわ私1人で練習するから、2人は帰っていいよ」


私がそう言うと、天羽くんの手が伸びた。

そして、私の頭に乗る。


「痛いのに良く頑張ったね。もう今日はいいよ。帰ってゆっくり休んで」


あぁ、なんていい人...。

やっぱり私も白雪姫が良いよ...。

なんで私はヒロインになれないんだろう。

人間は不平等だ。

この世界は理不尽だ。

なんでこんな世の中なんだろう。

恨んで恨んで恨みまくって

地球に大きな穴を開けそうだよ。


「直禾ちゃん、さぁ」


私が天羽くんの手を取ろうとすると、


「帰る」


それだけ言って櫻庭は去っていった。

何、あの素っ気ない態度。


可愛くないし、

カッコ良くない。

ふんっ。

櫻庭がやらないなら、私だってやらないんだから!

もう練習する必要はない。

私もお言葉に甘えて帰ろう。

私はためらうことなく、天羽くんの手を取った。


「ありがとう」

「いえいえ。千咲ちゃんも言ってたけど、毎日練習すれば絶対出来るようになるから、少しずつ頑張ろう。本番まであと10日もあるんだし。大丈夫」

「うん」