素直になりたい。

「もしもし。今電車の中だから後で...」


櫻庭の顔が窓ガラスに映り込む。

どんな表情をしているのか、

良く見える。


「うん...うん.........。いや、でも俺はもう......」


もう?

ということは、もしかして、

この電話の相手って...。


「愛萌、もう終わりにしよう。というより、もうとっくに終わってるんだ。
......いや、だから、ちょっと待て。愛萌...」


耳からスマホを離すと、今度は必死に指先を動かし始めた。

指、長いなぁ...。

しかも、私より細くて綺麗だし。

どんなこと、打ってるんだろう。

ガラス越しに表情を盗み見る。


......ふぅん。


そういうことか。


私の瞳にはっきり映っていたのは、

唇を強く噛みながら、

焦る気持ちのままに、

指を動かす、

櫻庭の姿だった。