素直になりたい。

私は目を瞑った。

溢れてきそうになる想いを

こらえるために

強く強く拳を握った。

スカートにシワが出来てもいい。

顔が崩れたっていい。

耐えなきゃならないんだ。

こんなことで泣いちゃ、

ダメ、なんだ。

私は早く大人になって、

早く一人前になって、

そして...

そして......


「直禾」


櫻庭が私の肩を抱き寄せた。

その温度に

伝わる鼓動に

私の温度も

私の鼓動も

重なっていく。

混ざり合って

1つになってしまう。

ダメ、だよ。

ダメ、なんだよ。

なんで、なの?

どうして、なの?

どうして、櫻庭は...

私に...

私に...

優しくするの?

苦手なままでいい。

嫌いなままでいい。

だって、そうじゃなきゃ、

変わっちゃったら

私は私じゃなくなる。

そんなの、

そんなの...

そんなの......

ダメ、だよ。


「落ち着くまでこうしてる」

「いい。やめて」

「やめない。放っておけない。俺にも責任がある」

「ない」

「ある」

「ないって」

「ある」


この、

意地っ張り。

そして、


「バカ」