素直になりたい。

「あぁ、たまんないわぁ」

「何が?」


速い。

もう買ってきたの?

せっかく妄想して楽しんでたのに、邪魔された。

まぁ、そんなこと、私の人生で起こるはずもないから、考えるだけ無駄か。

私は気を取り直し、櫻庭からチケットを受け取った。


「ここってイルカいる?」

「いる。さっき子供がイルカさーんって叫びながら走ってった」

「もっとその子の真似しなよ。つまんないじゃん」

「子供の真似なんて出来るか。俺、子供じゃないし」


自ら子供じゃないとか言ってるよ。

そういう人ほど子供なんだよな。

呆れる。

笑える。

私は堪えきれず、頬を緩めた。


「何笑ってんの?」

「別に」

「別にって顔じゃない。ちゃんと言えよ」

「言わない。言ったところで、どうせキレられるだけだし。ほら、いいからイルカのとこ、行くよ」


今日も私がリードを引く。

櫻庭に暴走されないように、

私はしっかり握る。