素直になりたい。

匠望くんがエレベーターの方に歩き出し、私は後を追った。


「匠望くんっ」

「何ですか?」


やっぱり冷たい。

けど、さっきは暖かった。

私のために心を動かしてくれた。

それに少しだけ...

救われた。


「ありがとう」

「別に僕は鷲尾先輩のために言ったのではありません。自分のプライドを守る...」

「どっちでもいいよ。いや、どっちもでもいい。私が助けてもらったのは確かだから」

「そうですか。なら、鷲尾先輩が良いように解釈して下さい」

「うん、分かった」


なんだ。

やっぱり似てるよ。

こういう素直じゃないとこ、

兄にそっくりだよ。

苦手でも、

嫌いでも、

憎みきれない。

だって、

強がりの奥に

優しさがあるから。

それを知ってしまったら、

私は力になりたいって、

そう、思ってしまうんだ。