素直になりたい。

――ピンポーン!


インターホンが鳴った。


「お迎えが来たな」

「やっと夕飯か。ワタシ、お腹ペコペコ。早く行こ」

「そうだね。じゃ、直禾ちゃんも貴重品だけ持って行こう」

「うん...」


ドアを開けると腕を組んだ2人が立っていた。


「あら、鷲尾さんもここにいたんですねぇ。てっきり、弟くんの方と色々お忙しいのかと...」

「なわけないでしょ」


...え?

今、私、人生の中で1、2を争うくらいの低い声出したんだけど。

自分でも良く分からないけど、

なんか、おかしい。

私...どうしちゃったの?

なんで、こんな不機嫌なの?

トランプで3回も負けたから?

......なわけ、ない。

なら、何?

私は自分の気持ちを把握できずに、目線をキョロキョロさせていた。


「あの、廊下では静かにしてください」


そう言いながら、匠望くんが登場した。

そして、鋭い眼光で黒柳さんを睨み付けた。


「僕が兄の恋人に手を出すと思いますか?ふっ。バカにするのも良い加減にしてください。そもそもあなたは兄のカノジョでもないのに、大口叩かない方が良いと思いますが」