素直になりたい。

「櫻庭、手離して。私、手汗すごいし」

「離さない。当分はこれで行く」

「いや、でも...」


櫻庭が立ち止まる。

私も急ブレーキをかける。

櫻庭の方を見る。

肩が上下に激しく動いてる。


「櫻庭...」


櫻庭は必死なんだ。

なんとかこの状況を打破したくて、

とにかく一瞬で色々判断して、

自分を不幸にしないよう、

自分の望み通りになるよう、

一生懸命もがいているんだ。

なら、私も...

ここに来てしまったんだから、

もう腹くくってやるしかない。

櫻庭の恋人役を、

明後日のクランクアップまで

しっかり務めあげるしかないんだ。