素直になりたい。

「何笑ってんの?」

「別に。何でもない」

「何でもなくないだろ?教えろ。教えないとこーする」


櫻庭の手が頬に伸び、思い切りつねられた。


「痛いっ!やめて!」


頬に激痛が走る。

明日の朝、鏡見ておたふく風邪みたいにパンパンに腫れてたら、絶対櫻庭のせいだから。


「仲がよろしいようで」

「良くないっ!もう、最悪なんだから!」


...あ。

櫻庭と目が合う。

な、なんて、ミス。

ってか、またミス。

私、すぐに設定を忘れちゃう人みたい。

こういう人は絶対役者になれない。

なんて、言っている場合ではないのだけれど。

はてさて、どうしよう。


「バーカ。強がるなよ。ほら、行くぞ」

「あっ...」


私の右手が櫻庭の左手に盗まれた。

いつもは手首なのに、

今は手のひらだ。

しかも、強く強く握られている。

ど、ど、どど、どうしよう。

心臓が痛い。

今にも破裂しそう。

ドクドクが止まらない。