素直になりたい。

最終的に、私は立花さんの隣の席に乗車し、1日目の宿泊地、鎌倉に向かった。

その道中、私と立花さんはラインで会話を繰り広げた。

どうやら、黒柳さんはずっとホットアイマスクをして眠っていたようなのだけど、何を聞かれるか分からないし、匠望くんの目も欺かなければならないから、この手段を取った。

そこで得た情報をざっとまとめると、

まず、櫻庭と生田くんは中等部で3年間同じクラスで、生徒会でも一緒だったから仲が良いということ。

生田くんと立花さんは2年の12月から交際しているということ。

そして、重要なのは、ここから。

黒柳結実さんは、中等部の2、3年の時に立花さんのクラスメートだったのだけれど、その自由奔放でマイペースな性格が原因で友達がいなかったこと。

黒柳さんと櫻庭の結婚話は中等部の頃から囁かれていたけど、櫻庭は日下さんと付き合っていたこと。

で、それを見ていた黒柳さんは2人の関係に嫉妬していたということ。

匠望くんに関しては、中等部の頃から常にトップの成績で、運動神経抜群で、空手、剣道、弓道のいずれの種目も全国大会に出場し、入賞している強者であるということ。

だが、兄より自分が優れていると認知し続けてきたため、性格は冷酷だということ。

兄の結婚が上手くいけば自分が後を継げなくなってしまうため、兄の相手は私みたいなポンコツである、もしくは、自分も着いていきたいと思えるくらい出来る女であることが結婚相手の条件であること。

これら全てを2時間の道のりでやり取りした。

私がありがとうのスタンプを送る頃にはもう目の前にお寺が見えていた。