素直になりたい。

私の腕を左手で掴み、右手で私のキャリーケースをガラガラ引き、背中には自分の荷物が入っているリュックを背負い、櫻庭はずんずんと歩く。


「櫻庭、大丈夫?」

「喋るな。2人になった時に話す」

「今2人だけど」

「後ろから追ってきてるだろ。聞かれたらまずい」

「だけど...」


と、言った直後。

私の肩が掴まれた。


「鷲尾さんは...はぁはぁ、千咲と乗って。それならいいでしょう?」


会長...生田くんがわざわざ走ってきてくれて、そう提案した。


「分かった。それでいい」

「それにしても厄介だな、あのお嬢様。新大、大丈夫?」

「なんとかする。鷲尾と...」


いや、私?!

自分1人で説得してよ。

私に重責押し付けないでよ。


「んじゃ、それぞれ頑張ろうな」

「あぁ」