素直になりたい。

「あら、皆さんお揃いで」

「ようやく主役の登場みたいだね」


私達の前に現れたのは、いかにもお嬢様らしい白ワンピースに、大きなつばのある女優帽を合わせ、足元はキラキラのスパンコールが散りばめられたサンダルをお召しになった少女だった。


「皆さん、こんにちは。わたくしの名は、皆さんご存知かと思いますが、改めて申し上げますね。
わたくしはリゾートKUROYANAGI社長令嬢の黒柳結実です。
今日から3日間、皆様と楽しい楽しい楽しいっ時間を過ごせるのが誠に楽しみでございます。それでは、よろしくお願いします」


楽しい、しかないのかな?

もしかして、語彙力ないとか?

こういう人、櫻庭はきっと苦手だろうなと思っていると、予想通り苦虫を潰したような顔をしていた。

それもそのはず。

元カノの日下さんとは似てもにつかないもん。

身長は150くらいしか無さそうだし、

アニメの声優並、いやそれ以上に高くて落ち着かない声だし、

お高くとまってるし、

知的ではない感じだし、

確かにこれでは拒絶反応が出てしまうのも無理ない。

同性の私でも受け入れ難いのだから、異性となれば、より受け入れ困難だろう。

私が言うのもナンだけど、

無礼を承知で言わせて頂くと、

ちょっと残念な人だな、

と思ってしまった。