「直禾はちょっと人見知りなんだ。でも、そういうとこも可愛いから許してやって」
か、かか、可愛い...。
な、なんてこと言うのよ、このバカ!
密かに頭で胸を小突いたが、櫻庭はふっと笑っただけだった。
「それより、匠望も自己紹介、お願い」
「分かったよ、兄さん。
僕の名前は櫻庭匠望です。こちらにらいらっしゃるお二方と共に生徒会に属し、書記として学園の運営に携わっております。
本日から3日間で兄の結婚相手にふさわしい方を見定めるために参りました。それでは、よろしくお願いします」
完璧な挨拶を見せられてちょっと別の意味でドキドキした。
こんな弟がいたら櫻庭はきっと劣等感ばかり感じるだろうと思ったのだけど、それはたぶん当たっている。
櫻庭が私の肩に添えた手の力が強くなったから。
私は、顔を上げた。
櫻庭も気づいてこちらにちらっと視線を流す。
――大丈夫?
口を動かすと、櫻庭は軽くうんと頷いた。
絶対大丈夫じゃない。
けど、我慢してるんだ。
強がってるんだ。
それが痛いほどよく分かるから、
私の胸も張り裂けそうになる。
なんとかこの感覚が無くなれば...
なんて思っても無くならない。
消えぬ痛みに耐えていると、足音が迫ってきた。
か、かか、可愛い...。
な、なんてこと言うのよ、このバカ!
密かに頭で胸を小突いたが、櫻庭はふっと笑っただけだった。
「それより、匠望も自己紹介、お願い」
「分かったよ、兄さん。
僕の名前は櫻庭匠望です。こちらにらいらっしゃるお二方と共に生徒会に属し、書記として学園の運営に携わっております。
本日から3日間で兄の結婚相手にふさわしい方を見定めるために参りました。それでは、よろしくお願いします」
完璧な挨拶を見せられてちょっと別の意味でドキドキした。
こんな弟がいたら櫻庭はきっと劣等感ばかり感じるだろうと思ったのだけど、それはたぶん当たっている。
櫻庭が私の肩に添えた手の力が強くなったから。
私は、顔を上げた。
櫻庭も気づいてこちらにちらっと視線を流す。
――大丈夫?
口を動かすと、櫻庭は軽くうんと頷いた。
絶対大丈夫じゃない。
けど、我慢してるんだ。
強がってるんだ。
それが痛いほどよく分かるから、
私の胸も張り裂けそうになる。
なんとかこの感覚が無くなれば...
なんて思っても無くならない。
消えぬ痛みに耐えていると、足音が迫ってきた。



