素直になりたい。

「お、おはよう櫻庭」

「櫻庭?」


私の言葉に首を傾げた弟に目が吸い寄せられた。

こ、こ、ここ、これが弟?

兄に顔も体型もそっくり。

身長は兄より2、3センチ大きく見えるけど、それ以外はほぼ同じ。

あ、でも...。

私は挨拶がてら、匠望さんの顔を観察した。


「た、大変失礼致しました。さ、さくら、じゃなくて、あ、あっ、新大くんのカノジョをさせてもらっています、鷲尾直禾です」


弟の瞳にはほくろはなく、代わりに口元に1つあった。

ジロジロ見てしまい、すみません。

と、内心平謝りしておく。


「させてもらってる?」


さすが、鋭い弟。

すぐに疑問を抱く。

私は焦りまくり、全身から汗が吹き出る。

やば。

な、なんていうミス...。

ど、どどど、どうしよう。

櫻庭に助けを求めるべく視線を送ると、やつはニヤッと笑って私の肩に手を伸ばした。


「あっ...」


櫻庭に抱き寄せられ、不覚にもドキッとしてしまう。

血が騒ぎ出し、ますます熱い。

ってか、私汗臭くないかな?

なんか、非常に気になる。