素直になりたい。

「で、日程とかその他の連絡は全部ラインでする」

「ちょっと待って。私オーケー出してないけど。勝手に話進めないでよ」

「えっ?もしかしてこの期に及んで行かないとか言うわけ?タダで行ける上に恋人ごっこ出来るっていう好条件だよ?行かない理由が見当たらないけど」

「いや、あるよ。櫻庭新大、あなた。なんで私があなたの恋人のふりをしなきゃならないの?恋人役なら、日下さんの方が適任だよ。だって、日下さん、まだ櫻庭のこと好きそうだったし、それに...」


私が続けようとすると、櫻庭の顔がすぐ目の前に迫ってきた。

そして、ずるずると壁側に寄せられる。


「いたっ」


壁に思い切り背中をぶつけた。

あぁ、もう、痛いよ!

背中も心も痛いよ。

痛すぎるよ。

なんなの、これ。

なんでこんなことになっちゃったの?

だって、私は...

私は...

苦手、なんだよ。

いや、

あなたのことが、

嫌い、なんだから。