「1つ言っておく。いや、全部答える。鷲尾が俺に興味津々みたいだから」

「いや、だから、それは...」

「まず、1つ」


櫻庭は私の言葉を遮って話し出した。


「俺はラブコメをくだらないなんて思ったことはない。むしろ、ああゆう世界は夢みたいで、たまに見る分には息抜きにもなるし、気軽に見られるし、いいと思ってる」


そ、そうなんだ...。

まさかの同意見。

深く共感してしまう。

胸を強く揺さぶられる。


「それと、この前は愛萌が見たがってたからサスペンスを選んだ。俺は映画館に来てまで頭を使うつもりはないから眠ってた。ちなみに、愛萌は中学時代のカノジョで、今は何とも思ってない。以上」

「あっ...あっそ。うん...分かった」


私は深く頷いた。

色々納得するために。

自分を納得させるために。

受け取った事実を飲み込んで

消化しようとした。

けど、

そんな簡単に消化できるわけもない。

残るんだよ、モヤモヤとかムカムカが。

それと私はこれからも付き合っていくしかないんだ。

それが、今出せる答えだ。


「これでいい?」

「うん、いい。ありがと。良く分かんないけど、ありがと」