「それに6つも年下の子なんかにときめかないから」



そうはっきり言ってるのに「へ~」「ふぅ~ん?」と納得がいかない様子のトモカ。


きっとお酒が入ってるからだ。
もう面倒だなぁ。


時計を見れば10時を回っていて、そろそろ本当に帰りたいと思ったあたしはケータイを取り出しアイツに連絡した。




『もしもし?』

「ケン、いつもの店に迎えに来てほしいんだけど。アンタの愛しい愛しい彼女様を」

『また酔ってんの?』

「えぇ、そはもう気分よさそうに。馬鹿なこと言いだすから引き取ってよ」



あたしも明日早いから、と伝えれば「すぐ行くわ」と言って切られた。



「なんでアンタがブチるんだ」



と悪態をつきながら残りのお酒を飲んでいたら10分ほどでお店に着いたケン。


意外と速かったね、と言えば本当に急いできたらしく少し息が荒い。




「っ…はぁ、なんも言われてねぇか?」

「なんもって何?」




ケンの語彙力機能誰か上げて。
言いたいことがちょっと伝わってこない。



「変なこと、とりあえず不快に思うことトモカ言ってなかったか?」

「あー…“愛ちゃんコーコーセーに恋しちゃメ!だからね?”ては言われたかな」

「おもっくそ言われてんじゃん……マジ、毎度ごめんな」

「もう慣れたし大丈夫だから」



それにケンが謝るような内容じゃないし。



「ケンだぁ~!あれれ~?なんか気分落ちてなーい?」



そりゃ、アンタが原因だから。



「コイツ持って帰るから、愛はどうする?」

「タクシーで帰ろうかなって…」

「じゃあはいこれ」


と言われ渡されたのは1万円。



「いいよ、こんなにいらないっ」



料理もそんな頼んでないし1人当たり4000円くらい。



「コイツの飲み代と、お前のタクシー代」

「イケメンかよ」




残りのおつりはあたしのタクシー代らしく、それでも余るからこんなに沢山は受け取れないと言ったら「じゃあ今度の土曜お前の家で飲むからそれの足し」ということでまんまと1万円を受け取ってしまった。



なんて男だろう、ここ数年で本当良い男に成長したよね。



ケンがトモカを連れて帰った後、あたしは自分の分とトモカの分の会計を済ませて有り難くケンのお金で家まで帰った。