「完治するのが1ヶ月くらいかかるそうで」

「それで、私にお手伝いをお願いしたいと?」

「はい」

私の問いに林太郎さんは首を縦に振ってうなずいた。

「もちろん、無理にとは言いません。

一果さんも工房でのお仕事がありますし」

「いいですよ」

そう返事をした私に、林太郎さんは驚いたようだった。

「昨今の影響からか客足があれなので…まあ、早い話が暇なんですよね。

仕事内容を覚えるのにはいいですけれども」

私は苦笑いをすると、抹茶アイスを口に含んだ。

冷たくて、甘くてほろ苦いそれが舌のうえで静かに溶けた。

「そう言う訳なので、お手伝いをさせてください」

私はそう言って林太郎さんに小さく頭を下げた。