初恋交響楽

翌日、わたしは寝室にいた。

目の前には、1着のスーツがある。

先ほどクリーニング店から受け取ったばかりの大国くんのスーツだ。

何でも明日は大事な会議があるらしく、このスーツを着て参加をするから受け取りに行って欲しい…と、今朝大国くんに頼まれたのだ。

このスーツは、元は大国くんのお父さんが着ていたものらしく、20歳の誕生日を迎えた記念にお父さんがプレゼントをしてくれたのだそうだ。

元々はお父さんのもので、お父さんの愛情が込められているこのスーツに…と、罪悪感が今さらながらに襲ってくる。

「ーーこれも離婚のためだ」

お父さん、ごめんなさい。

わたしは心の中で謝ると、手に持っていた裁ちばさみをスーツに向かって振りあげた。