初恋交響楽

なかなか作戦通りに行かないな、おい。

冷凍庫から保冷剤を取り出したところで、着替えを済ませた大国くんがリビングに戻ってきた。

「大国くん、大丈夫?」

大国くんに保冷剤を渡すと、
「俺は大丈夫だよ。

西尾さんの方こそ大丈夫だった?」
と、何故かわたしに問いかけてきた。

「えっ、何で?」

そう聞き返したわたしに、
「さっきつまづいていたみたいだし、ほうじ茶が手とか顔にかかって火傷をしたんじゃないかと思って」
と、大国くんが言った。

まさか、心配されるとは思ってもみなかった…。

「わ、わたしは大丈夫だよ…。

心配してくれてありがとう…」

わたしはちゃんと返事をすることができただろうか?

「よかった」

そう言って微笑みかけた大国くんに対して、心臓がドキドキと早鐘を打ったのがわかった。