初恋交響楽

湯呑みは絨毯のうえに転がったので無事だった。

「きゃーっ、ごめんなさい!」

わたしは悲鳴をあげてオロオロとした。

「ちょっ、ちょっと待って!

今、ふきんを持ってくるから!」

慌ててキッチンへと駆け込み、ふきんを手に持って大国くんのところに戻ってきた。

ふきんで濡れた太ももを拭いて、
「ヤだ、どうしよう!

間違えてぞうきんを持ってきちゃった!」
と、さらに慌てた。

「だ、大丈夫だよ。

俺は新しいのに着替えてくるから、西尾さんは保冷剤の用意をして」

大国くんはそう言ってリビングを後にした。

その後ろ姿を見送ると、
「クソ、またも失敗した!」

わたしはぞうきんをフローリングにたたきつけた。