初恋交響楽

二重の切れ長の目に小さな鼻、形のいい紅い唇、陶器のように白いその肌にはニキビや傷は見当たらなかった。

「西尾さん?」

「えっ…あっ、はい…?」

名前を呼ばれて戸惑いながら返事をしたら、
「俺の顔に何かついてる?」
と、大国くんに聞かれた。

「な、何にもついてないよ…」

わたしは首を横に振って答えた。

「それよりも早く終わろうか?」

そう言ったわたしに、
「そうだね、早く終わろう」

大国くんは思い出したように作業を始めた。

ああ、驚いた…。

まさか、あなたの顔を見ていましたなんて言える訳がない。

そのうえ、あなたはかっこいいと思いましたなんて…なおさら言える訳がない。

何も考えないように、自分が思ったことを全て追い払うように、わたしは手を動かして作業を進めた。