あの日以来、領は家に帰る途中まで送ってくれるようになった。本当は家まで送っていきたい、って領は言ったけど、それはさすがに悪いから途中までってお願いしたんだ。

それから一週間、毎日練習があった。お母さんには、部活と、その帰りに図書館に寄ってくる、と言っておいた。

嘘ばっかりだけど、今まで私が周りについてきた優等生というウソに比べたらこれくらい、どうってことないよね。

図書館にいく、と付け加えたおかげで勉強についても何も言われなかった。それ以外には、興味もないのかもしれない。


そんなの、わかってたこと、だけどね。


それから、この1週間で、3人の音楽に対する熱い想いを何度も見た。

楽器ができるなんてそれだけでもすごいと思うのに、3人とも努力を惜しまない。


もっといいものを。
もっといい音楽を。


人気バンドのコピーだけじゃなくて、領を中心に作った自分たちの曲も。三人とも、全部を真剣に奏でるんだ。

私は、そんな彼らの音楽を、一番近くで聴いている。

なんて幸せ者なんだろうと思う。ここに混ざれていること自体、夢みたいでまだ信じられないでいるんだ。