会場のテレビ局につくなり、マネージャーと領に小言を言われた。授業だって元から言っていたんだから、そんなに怒らなくても。



「はるとうたたねさん!もうすぐ本番です!スタジオ入ってください!」



楽屋までやってきた荒々しいスタッフの声とともに、私たちはスタジオへ向かう。領のギターで音合わせはしてもらった。喉の調子も悪くない。




「はえーなー、もう?」

「何言ってんだよ、怜。生放送なんだから遅れは許されないの!」

「それにしても、スケジュールハードすぎ」

「昨日も深夜までラジオゲスト出演だったもんなー」




こんな会話は、もう日常茶飯事だ。

私たちが「はるとうたたね」としてメジャーデビューしてもう1年が経つ。

あの日、文化祭の次の日出演したb-stationを経て武田さんに目をつけられた私たちは、日本一と言われるレコード会社と契約を結んだ。曲のテイストや歌詞のあり方、ビジュアルから売り方までデビュー前にしっかり仕込んで貰って、高校を卒業と共にメジャーデビュー。瞬く間に人気急上昇。


CMや歌番組出演の依頼。この春にはドラマの主題歌にも抜擢されている。


そして来月には、1stアルバム発売が決定。今はその準備と宣伝活動で大忙しだ。