◇
まだ歓声は鳴り止まないけれど、出演時間は決まっているので運営に舞台裏へと促され、戻る。アンコールの声と拍手はここまでまだ聞こえている。どうしよう、泣きそうだ。
「あー、ホント、サイッコー!」
「やっと終わったな、」
怜と浩平の言葉に、領が「まだ、」と呟く。私たちはそんな領を見る。
「綾乃、ケータイ見た?」
「え……」
領に言われてケータイを開く。そこには一件の新着メッセージ。
―――――――――――――――――
件名:綾乃へ
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
よかった
歌、こんなに上手くなったのね
―――――――――――――――――
手が震えた。差出人は、お母さんだ。
「領、なんで……」
「見えなかった? 観客席に綾乃とそっくりの人いるんだもん、おれはすぐわかったよ」
「ウソ……」
あんなに観客席を見渡したのに、お母さんの姿を見つけられなかった。やっぱり私はまだまだ領には敵わない。
「今走れば間に合うんじゃない?」
「でも、」
「言わない後悔より言って後悔!」
「……っ」
「綾乃が帰ってきたら、打ち上げな!!!」
「ありがとう、」
トン、とやさしく押された背中。怜と浩平もすべてを悟って、私をやさしい目で送り出してくれている。
「───頑張れ」
話をしなくちゃならない。今日という日、領が、はるとうたたねが用意してくれた奇跡のような日。
もう逃げない、向き合う姿勢が、私には足りてなかった。
まだ歓声は鳴り止まないけれど、出演時間は決まっているので運営に舞台裏へと促され、戻る。アンコールの声と拍手はここまでまだ聞こえている。どうしよう、泣きそうだ。
「あー、ホント、サイッコー!」
「やっと終わったな、」
怜と浩平の言葉に、領が「まだ、」と呟く。私たちはそんな領を見る。
「綾乃、ケータイ見た?」
「え……」
領に言われてケータイを開く。そこには一件の新着メッセージ。
―――――――――――――――――
件名:綾乃へ
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よかった
歌、こんなに上手くなったのね
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手が震えた。差出人は、お母さんだ。
「領、なんで……」
「見えなかった? 観客席に綾乃とそっくりの人いるんだもん、おれはすぐわかったよ」
「ウソ……」
あんなに観客席を見渡したのに、お母さんの姿を見つけられなかった。やっぱり私はまだまだ領には敵わない。
「今走れば間に合うんじゃない?」
「でも、」
「言わない後悔より言って後悔!」
「……っ」
「綾乃が帰ってきたら、打ち上げな!!!」
「ありがとう、」
トン、とやさしく押された背中。怜と浩平もすべてを悟って、私をやさしい目で送り出してくれている。
「───頑張れ」
話をしなくちゃならない。今日という日、領が、はるとうたたねが用意してくれた奇跡のような日。
もう逃げない、向き合う姿勢が、私には足りてなかった。