◇
「ハイ、綾乃」
「わ、ありがとー!」
帰り道。この後バイトに行くというふたりと別れて、怜と一緒に肩を並べた。怜が『そろそろ肉まん売ってそうじゃね?』と言うのでコンビニに寄る途中、『奢るからちょっと付き合って』と公園のベンチに座らされたのだった。
「もう売ってるんだね、肉まん」
「おでんや肉まんが一年間の中でイチバン売れるのって、売り始めの秋らしーよ」
「え、そうなんだ、冬だと思ってた」
「新鮮な物にはみんな食いつくからね」
怜が隣に腰掛ける。渡された熱々の袋を開くと、湯気の上った白い肉まんがひょっこり顔を覗かせた。
確かに、いつもは見ない商品が店頭に並んでいるのを見ると、つい欲しくなってしまうことと似ているのかも。スタバの新作に並ぶ女の子たちと同じ原理だ。
そのままぱくりとかぶりつくと、柔らかい生地に中から肉汁がぎゅっとあふれ出て、思わず目を細めてしまう。
「美味しいー」
「な、なんでかこの季節に食べる肉まんもウメーんだよなー」
怜も片手で肉まんにかぶりつく。
「それで、何か話だった?」
「ん?」
「怜、何か話したそうにしてるな、って」
「あー……」
思い返してみれば、怜と二人きりになること自体結構珍しいことだ。大体私たちはいつも4人でいるから。
「ハイ、綾乃」
「わ、ありがとー!」
帰り道。この後バイトに行くというふたりと別れて、怜と一緒に肩を並べた。怜が『そろそろ肉まん売ってそうじゃね?』と言うのでコンビニに寄る途中、『奢るからちょっと付き合って』と公園のベンチに座らされたのだった。
「もう売ってるんだね、肉まん」
「おでんや肉まんが一年間の中でイチバン売れるのって、売り始めの秋らしーよ」
「え、そうなんだ、冬だと思ってた」
「新鮮な物にはみんな食いつくからね」
怜が隣に腰掛ける。渡された熱々の袋を開くと、湯気の上った白い肉まんがひょっこり顔を覗かせた。
確かに、いつもは見ない商品が店頭に並んでいるのを見ると、つい欲しくなってしまうことと似ているのかも。スタバの新作に並ぶ女の子たちと同じ原理だ。
そのままぱくりとかぶりつくと、柔らかい生地に中から肉汁がぎゅっとあふれ出て、思わず目を細めてしまう。
「美味しいー」
「な、なんでかこの季節に食べる肉まんもウメーんだよなー」
怜も片手で肉まんにかぶりつく。
「それで、何か話だった?」
「ん?」
「怜、何か話したそうにしてるな、って」
「あー……」
思い返してみれば、怜と二人きりになること自体結構珍しいことだ。大体私たちはいつも4人でいるから。