「文化祭まで、あと1週間ー!」



そう大きく声を張り上げたのは領。よくもまあまだそんな元気がある物だなあと他の二人は顔を見合わせてぐっだりしている。

───夏休み明けから1ヶ月。10月中旬の文化祭と、その次の日のb-station出演に向けて、私たちは毎日8時まで猛特訓していた。

通常の部活動が学校に残っていいのは7時半まで。つまり、7時半までは音楽準備室を使うことができるのだ。

時々スタジオを借りたり、領の家にいったり。とにかく時間をかけて、個人練習から合わせまで入念に何度も音を合わせていく。

新譜というだけあって、表現方法やピッチ、速度、全部いちから相談して合わせなきゃいけない。ひとつひとつの音符に意味があるんだ。



「それにしても、綾乃の歌詞いいなー」

「うん、ウチもこの曲イチバン好き」



領の言葉に怜が頷く。デートの後、徹夜で仕上げた歌詞はみんなに好評で、この1ヶ月の間にあった小さなライブでも観客からかなり大きな歓声をもらった。



「とりあえず今日はこれで終わりなー」

「もーヘトヘト、ラーメン食いにいかねー?綾乃」

「私は明日の予習があるから……」

「エライなホント」

「怜も見習ったら」

「それは無理」



もちろん、バンド活動をやるだけじゃない。今まで勉強していた時間を減らした分、短い時間の中で成績をキープする為に毎日の予習復習に気合いをいれている。私は案外短期集中型みたい。